導入事例
2025年05月23日
ELIOS 3の活用でプラント内の狭小・暗所点検の工期を5分の1に短縮
点検


各種非破壊検査サービスを提供する計測検査さまは、プラントなどの点検において狭小・暗所点検に特化した特殊ドローン「ELIOS 3」を活用することで、サービスの品質と対応スピードを向上させるとともに、お客さまのコスト削減にも貢献しています。また、高所や酸素欠乏の恐れがある場所に人が立ち入る必要がなくなりました。このサービスの提供にあたっては、機体およびパイロットを豊富に擁する九電ドローンサービスをパートナーに選定いただき、多くの需要に応えられる体制を構築しています。
- プラントなど狭小・暗所点検を行う事業者は、検査以外にも足場を設置するためのコストと期間が必要だった
- 従来のドローンでは粉塵の多い環境で飛行が不安定になるなど、点検したい場所へのアクセスが困難だった
- 高所や酸素欠乏の恐れがある場所での作業となるため、安全確保が必要だった。また、点検技術者の人材不足も課題だった



- 足場の設置、検査、解体の全工程に通常5日程度の時間がかかっていたが、ドローン点検により1日で完了するようになり、コストと操業停止による機会損失を減らすことができた
- LiDAR SLAM技術を搭載したELIOS 3により、粉塵環境でも安定して飛行できるようになり、さらに3Dモデリングで異常発生箇所が具体的にわかるため点検品質が向上した
- 狭小・暗所で人が入らずに点検ができるため、墜落リスクや酸欠リスクが解消された

視界が悪く危険もある狭小・暗所点検ドローンの活用で検査の効率化と安全性確保を目指す
Q:ドローンを用いた狭小・暗所点検を導入する前に抱えていた課題について教えてください。

計測検査 検査部 係長補佐 勝永嵩太さま
当社検査部では、プラントなどにある構造物の表面や内面にある傷を非破壊検査にて検査・解析し、大型ダクトの内部や煙突、天井などの狭小・暗所点検を行っています。基本的には目視での作業ですが、ライトを設置しても視界が限られています。また、酸素管理をしたり足場の上で作業したりする現場も多く、安全面での配慮が必要でした。
お客さまとしては、検査に加えて足場設置の工期と費用が必要になるため、より簡便な他の手段があるのなら当然喜ばれます。また、当社としては高所作業に慣れた技術者の減少が課題でした。
Q:なぜドローン検査に注目し、導入されたのでしょうか?
勝永さま
まだ世の中でドローンの活用が始まったころでしたが、こうした課題が解消できるのではないかという期待から、まずは工場の波板屋根や避雷針を空撮で点検するサービスを始め、領域を拡大してきました。
例えば高さ150mもある煙突を人が点検する場合、先端付近へアクセスするだけでも非常に時間がかかり、また一度上ると半日は降りてこられません。しかしドローンを使えば数分でアクセスできるようになります。
九州エリアで最大級の規模を誇る九電ドローンサービスをパートナーに選定
Q:九電ドローンサービスをパートナーとして選定された理由を教えてください。

勝永さま
弊社内のドローンパイロットの人数と機材数は限られており、対応できる現場が制限されていました。対して九電ドローンサービスはパイロット数や取扱機体数が九州エリアで最大級の規模であり、お客さまの要望に合わせて稼働できるパイロットと機体の確保という点で私たちのニーズと合致していました。

九電ドローンサービス 松本大介
ドローンに関する計測検査さまとのお付き合いは2020年ごろからで、ELIOS 2を活用した点検をご支援してきました。ELIOS 2は球体ガードがあるため接近撮影が可能で、ライトも付属するので明かりのない煙突内などの狭小・暗所空間においても安定した飛行と鮮明な映像撮影を実現できます。ELIOS 3が登場してからは当機材の活用をご提案し、従来にはない価値を享受されています。
過酷な環境でも使えるELIOS 3で検査サービスの品質が格段に向上
Q:ELIOS 3を活用する決め手となった性能や機能について教えてください。

松本
ELIOS 3の最大の特徴はLiDARセンサーを搭載可能なことだと思います。ELIOS 2だと粉塵が多い環境だと機体が安定しないときがあり、アクセスが難しいという課題がありました。一方でELIOS 3なら、自己位置を推定するLiDAR SLAM技術のおかげで安定したアクセスが実現でき、さらにELIOS 2では機材の制御が難しかった粉塵が多い環境でもしっかり安定して静止できます。


※LiDAR SLAM
また、ELIOS 2は電波が届かなくなるとその場所で留まってしまいますが、ELIOS 3は飛行の離陸地点(起点)まで自動で安全に戻ってくるスマート・リターン・トゥ・ホーム機能が付いているため安心感があります。
さらにライトもELIOS 2より明るいので、通常のドローンでは対応できない暗所でも活用可能です。


Q:ELIOS 3導入によって得られた効果について教えてください。

勝永さま
サービス品質の観点では、検査精度が格段に上がったことが一番の成果です。ELIOS 2では気圧計などを使って高さを測定していたものの、数メートルのズレが生じることがありました。ELIOS 3のLiDAR SLAM技術ならズレがほとんどなく、ピンポイントで正確な測定ができるようになりました。また、ドローンの飛行軌跡が記録されるため撮り残しの恐れもありません。その上、3Dモデリングにより異常発生箇所が具体的にわかるため、お客さまに損傷している場所をピンポイントで報告することが可能になりました。


作業効率も大幅に向上しています。例えば大型ダクト内部の点検では、従来なら足場の設置に1〜2日、検査に2〜3日、さらに足場の解体にも時間がかかります。それがドローンなら基本的に1日で終わるようになりました。つまり、5日かかっていた工程が1日で済むようになったのです。
安全面についても、狭小・暗所で人が入らずに点検ができるようになり、墜落リスクや酸欠リスクが解消されました。
GPS非搭載なのに安定して飛行することに驚いた
Q:導入時に特に印象的だったエピソードを教えてください。

勝永さま
ELIOS 3の安定感には本当に驚きました。GPS非搭載なのに、ピタッと止まる精度は想像以上でした。また、粉塵環境でもLiDARセンサーがしっかり機能し、安定して飛行できる点も非常にありがたいです。LiDARセンサーといっても少しは動きが乱れるだろう、と思っていたのですが、そのようなこともなく文字通り「ピタッと」止まりました。性能については申し分なく、ELIOS 3が対応できない現場を探すことの方が難しいぐらいです。
Q:今後、導入を予定しているドローン技術や機能があれば教えてください。

勝永さま
狭小・暗所に限らずさまざまなドローンを扱っていますが、今後は安全保障上の制約が大きい現場でも活用できるような国産ドローンを導入していく必要があると考えています。ELIOS 3についてはスイスのメーカーということで安心していただけています。
事例でご紹介した企業さま

- 会社名・組織名
- 計測検査株式会社
- 業種
- 検査技術サービス
- 設立
- 1974年11月
- 所在地
- 福岡県北九州市八幡西区陣原1丁目8番3号